良質なタンパク質が食べ過ぎを止める
食欲を抑えるのにはタンパク質が効果的です。しかし、ひとえにタンパク質といっても多くの種類が存在します。大きく分けてお肉や魚などの動物性タンパク質と、お米や小麦などの植物性タンパク質の2種類があります。
皆さんがイメージするタンパク質は肉類や魚介類、乳製品や卵などの動物由来のタンパク質ではないでしょうか。ですが、お米や小麦、大豆などの植物にだってタンパク質は含まれています。
高タンパク質な食事が食欲を抑える効果があるのは、多数の研究から明らかになっています。でも、どんな種類のタンパク質を食べればいいかは、あまり報告例がありません。たいてい出てくるのは、牛乳由来のタンパク質か大豆由来のタンパク質です。
今回紹介するのは、どんな種類のタンパク質を食べれば食欲がおさまるかという研究です。ただ単にタンパク質を多くとればいいのか、特定のタンパク質を多くとればいいのかが明らかになりました。
タンパク質は20種類のアミノ酸からなっています。その中でも体内で合成できない9種類のアミノ酸を必須アミノ酸と言います。研究によれば、高タンパク質な食事で食欲が抑えられるのは、必須アミノ酸の必要量が満たされるからだというのです。
つまり、食べ過ぎを防ぐには必須アミノ酸を多く含む、良質なタンパク質をたくさん食べることが重要になってきます。必須アミノ酸が含まれない食品ばかり食べても満たされず、必須アミノ酸がしっかり摂れるまで他の食品で補おうとしてしまいます。
食品に含まれるタンパク質はそれぞれ異なり、あるアミノ酸は多いけど別のアミノ酸は少ないといった感じで、すべてのアミノ酸を網羅しているわけではありません。必須アミノ酸が全て揃っているかを表す指標にアミノ酸スコアというものがあります。
必須アミノ酸が全て入っている食品はアミノ酸スコアが100になります。アミノ酸スコアが100の食品は動物由来のものに多いです。肉類や魚、牛乳や卵、ヨーグルトなどはアミノ酸スコアが100ですべての必須アミノ酸が含まれています。
アミノ酸スコアが100でなくても多品目食べることで補うことができますが、肉類や魚などを中心に動物由来のタンパク質から摂取したほうが簡単ですし、なおかつ低カロリーで済みます。
プロテインレバレッジ仮説では、必要量のタンパク質を摂取するまで食べ続けてしまうとされてきましたが、新たな見解が発表されました。食欲は必須アミノ酸を満たすまで止まらないという考え方が正しいのかもしれません。
牛乳由来のタンパク質であるホエイプロテインやカゼインプロテインはもちろんアミノ酸スコアは100です。プロテインなら必須アミノ酸を十分補給できて、余計なカロリーもとらなくて済むのでダイエットには向いています。
ですが、今回の研究で必須アミノ酸だけ満たされれば良いのなら、必須アミノ酸だけのサプリメントでも代用できるのではないかと思ったりもします。すでにアミノ酸に分解されているので、プロテインよりも早く吸収されます。
よりスピーディーに満腹感を与えてくれるかもしれません。まだ、必須アミノ酸だけを飲んで検証した実験が報告されていないので、今後の研究に期待です。
参考文献
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0031938419301088?via%3Dihub