プロテインレバレッジ解体新書

食べ過ぎを抑える「プロテインレバレッジ」について解説しています

高タンパク質な食事は脳の暴走を止める

食欲というのは脳が満足すればおさまります。高タンパク質な食事をすることで脳を満足させて、食べ過ぎを防ぐことができます。

 

暴飲暴食に関係するのは、脳の報酬系という部分です。食べ物を口にして「美味しい」と感じるときに反応するのが報酬系で、脳内では快楽を与えるドーパミンという物質が分泌されます。

 

脳はドーパミンを求めて食欲をどんどん増やしてしまいます。ついつい食べ過ぎてしまうのは、ドーパミンが過剰に分泌されてしまうからなのです。逆にドーパミンの分泌を抑えることができれば、過食にはなりません。

 

高タンパク質な食事が報酬系の活性を低下させて、食べ過ぎを防ぐという研究を紹介します。これはあくまでネズミで行った実験ですが、同じ哺乳類なので同等な効果は期待できると思います。

 

食事中のタンパク質を総カロリーの14%とした普通食と、50%とした高タンパク質食を比較すると、高タンパク質の方が食事量は少なくなりました。これは、高タンパク質な食事が脳の報酬系の活性を低下させた結果だとしています。

 

また、食事中のタンパク質を総カロリーの6%とした低タンパク食のグループでは、報酬系の活性が高まり摂取カロリーが増えてしまいました。

 

ついつい食べ過ぎてしまうのは報酬系が活発に働くのが原因かもしれません。体内の作用なので自分の意思で食べ過ぎを制御するのは難しいです。高タンパク質な食事は脳に直接働きかけるので、本人の意思とは関係ありません。

 

毎回食べ過ぎてしまったと後悔するのなら、高タンパク質な食事を試してみてはどうでしょうか。

 

参考文献

https://academic.oup.com/jn/article-lookup/doi/10.1093/jn/nxy060

良質なタンパク質が食べ過ぎを止める

食欲を抑えるのにはタンパク質が効果的です。しかし、ひとえにタンパク質といっても多くの種類が存在します。大きく分けてお肉や魚などの動物性タンパク質と、お米や小麦などの植物性タンパク質の2種類があります。

 

皆さんがイメージするタンパク質は肉類や魚介類、乳製品や卵などの動物由来のタンパク質ではないでしょうか。ですが、お米や小麦、大豆などの植物にだってタンパク質は含まれています。

 

高タンパク質な食事が食欲を抑える効果があるのは、多数の研究から明らかになっています。でも、どんな種類のタンパク質を食べればいいかは、あまり報告例がありません。たいてい出てくるのは、牛乳由来のタンパク質か大豆由来のタンパク質です。

 

今回紹介するのは、どんな種類のタンパク質を食べれば食欲がおさまるかという研究です。ただ単にタンパク質を多くとればいいのか、特定のタンパク質を多くとればいいのかが明らかになりました。

 

タンパク質は20種類のアミノ酸からなっています。その中でも体内で合成できない9種類のアミノ酸必須アミノ酸と言います。研究によれば、高タンパク質な食事で食欲が抑えられるのは、必須アミノ酸の必要量が満たされるからだというのです。

 

つまり、食べ過ぎを防ぐには必須アミノ酸を多く含む、良質なタンパク質をたくさん食べることが重要になってきます。必須アミノ酸が含まれない食品ばかり食べても満たされず、必須アミノ酸がしっかり摂れるまで他の食品で補おうとしてしまいます。

 

食品に含まれるタンパク質はそれぞれ異なり、あるアミノ酸は多いけど別のアミノ酸は少ないといった感じで、すべてのアミノ酸を網羅しているわけではありません。必須アミノ酸が全て揃っているかを表す指標にアミノ酸スコアというものがあります。

 

必須アミノ酸が全て入っている食品はアミノ酸スコアが100になります。アミノ酸スコアが100の食品は動物由来のものに多いです。肉類や魚、牛乳や卵、ヨーグルトなどはアミノ酸スコアが100ですべての必須アミノ酸が含まれています。

 

アミノ酸スコアが100でなくても多品目食べることで補うことができますが、肉類や魚などを中心に動物由来のタンパク質から摂取したほうが簡単ですし、なおかつ低カロリーで済みます。

 

プロテインレバレッジ仮説では、必要量のタンパク質を摂取するまで食べ続けてしまうとされてきましたが、新たな見解が発表されました。食欲は必須アミノ酸を満たすまで止まらないという考え方が正しいのかもしれません。

 

牛乳由来のタンパク質であるホエイプロテインカゼインプロテインはもちろんアミノ酸スコアは100です。プロテインなら必須アミノ酸を十分補給できて、余計なカロリーもとらなくて済むのでダイエットには向いています。

 

ですが、今回の研究で必須アミノ酸だけ満たされれば良いのなら、必須アミノ酸だけのサプリメントでも代用できるのではないかと思ったりもします。すでにアミノ酸に分解されているので、プロテインよりも早く吸収されます。

 

よりスピーディーに満腹感を与えてくれるかもしれません。まだ、必須アミノ酸だけを飲んで検証した実験が報告されていないので、今後の研究に期待です。

 

参考文献

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0031938419301088?via%3Dihub

朝食にホエイプロテインを加えると痩せる

朝食は食べた方がいいという話はよく聞きますよね。でも、よくよく調べてみると根拠のないことが分かってきました。実際に朝食を抜いても肥満にならないし、夕食をしっかり食べていれば問題ないという研究もあります。

 

「朝食をとって1日3食しっかり食べましょう」という触れ込みが出てきたのは25年ほど前からだと言われています。もともと日本人は1日2食でしたし、動物に至っては1食の場合もあります。

 

人間本来の形ではお腹が空いたら食べるのが理想的で、食べたくもないのに朝食をとるのはいかがなものかと思います。ですが、朝食は病気の予防や体重を落とす意味ではとった方がいいです。

 

朝食にホエイタンパク質を含む高タンパク質な食事をすると、そうでない人と比べると倍以上の効果があるという研究があります。被験者は糖尿病患者で、朝食に含まれるタンパク質量の差で体にどんな影響があるかを調べています。

 

1日の摂取カロリーは変わらず、ホエイタンパク質28gを含む42gのタンパク質を含む朝食と、炭水化物が中心でタンパク質は17gから成る朝食を12週間比較しています。

 

結果は、高タンパク質な朝食のグループは12週間で体重が7.6kg減少し、炭水化物中心のグループは3.5kgの減少でした。ホエイタンパク質を含む高タンパク質な朝食はそうでないグループと比べて2倍以上の体重減少がみられています。

 

また、高タンパク質なグループの方が、血糖値を下げるインスリンの分泌量が増えていました。食後の満腹感や空腹感でも高タンパク質な朝食をとったグループの方が優位な値を出しています。高タンパク質な朝食をしたグループは体重がより減少し、糖尿病の症状まで改善されています。

 

ホエイタンパク質は牛乳やヨーグルトなど乳製品に含まれますが、全体の20%ぐらいしか含まれていません。効率よく摂取したいならホエイプロテインをお勧めします。水や牛乳に溶かすだけで簡単にホエイタンパク質が補給できます。

 

体重を落としたいと思うなら、ホエイタンパク質を中心に高タンパク質な朝食を試してみるのもいいかもしれませんね。

 

参考文献

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0955286316306532

高タンパク質な食事がとれないときの対処法

タンパク質が食欲を抑えてくれるといっても、毎食高タンパク質な食事を取れるわけではありませんよね。きっちりと食事管理をしていれば別ですが、たまにはどうしても無理な時だってあります。

 

どうしても高タンパク質な食事ができない人や、体調や時間の問題で朝にガッツリ食べられない人でも、体内のアミノ酸濃度を高く保つ方法が明らかになりました。

 

低タンパク質な食事をしても、その2時間後にホエイプロテインを飲めば、高タンパク質な食事をしたのと同等な効果が発揮できるという研究があります。

 

食事から得られたタンパク質は、体内で分解されてアミノ酸に変わります。食欲を抑えるのには、特定のアミノ酸が関係しているという見解も存在します。体内のアミノ酸濃度を高いレベルに保つことは、食欲を抑えるのに関係があるかもしれません。

 

研究報告によると、タンパク質を10gしか含まれない食事をした2時間後にホエイプロテインを飲んだところ、タンパク質が30g含まれる高タンパク質な食事と血中アミノ酸濃度が変わりませんでした。

 

お肉や魚などのタンパク質を食べると、食後3時間で血液中のアミノ酸濃度が最大になります。吸収が速いことで有名なホエイプロテインは、飲んでから1時間でピークに達します。この吸収の速さを利用して、食事の後に時間を空けてプロテインを飲めば、高タンパク質な食事と同等な効果が得られます。

 

食事にタンパク質が足りていないと感じたら、ホエイプロテインを飲めば問題ありません。その場でプロテインを飲めれば良いのですが、なかなか難しいですよね。だったら食事の2時間後を目安にホエイプロテインを取り入れてみてはどうですか。

 

参考文献

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0271531717306474

プロテインの効果は2時間続く

炭水化物やタンパク質、脂質は三大栄養素と呼ばれ、人間が生きていくうえでとても大切な栄養素です。特に、タンパク質は人間を含む多くの動物にとって、最も重要な栄養素だといわれています。

 

牛乳由来のホエイタンパク質は、数あるタンパク質の中でも栄養価が高く良質なタンパク質として有名です。このホエイタンパク質が食欲を抑える効果があるといった研究は多く報告されています。

 

最近では、食べ過ぎや間食を防ぐにはホエイプロテインを飲むと効果的だという研究が多数あります。今回紹介するのは、間食に対してプロテインがどれだけ効果的かがわかる調査になります。

 

食事の前にホエイプロテインプロテインを飲むと、胃や腸で満腹感を与える物質が分泌されて、食欲が抑えられることが分かっています。では、ホエイプロテインが食欲を抑えてくれる効果は、どれくらい続くのかを調べた研究を紹介します。

 

ホエイプロテインとマルトデキストリンという炭水化物を比較して、胃腸から分泌されるホルモンがどれだけ違うかを検討してあります。人間が満腹感を感じるのは食べ物を口にし、それが胃や腸に届いて食べ物を受けとったサインとして数種類のホルモンが分泌されたときです。

 

このホルモンたちを多く分泌されてくれれば、満腹感はより強いものになります。実験の結果としては、マルトデキストリンを溶かしたものよりホエイプロテインの方が、より多くのホルモンを分泌しました。

 

この実験でも、炭水化物よりもタンパク質の方が、満腹感を得やすいことが証明されています。本題のホエイプロテインによる満腹感の持続時間ですが、2時間が目安になることが判明しました。

 

プロテインを飲んで30~40分でホルモンの分泌量がピークを迎え、満腹感は上昇して空腹感は低下します。その後2時間経過すると、どちらもピーク時の半分程度まで戻ってしまいます。

 

2時間半後には、プロテインもマルトデキストリンも同じくらいのレベルまで戻ります。この結果から、ホエイプロテインを飲めば2時間は食欲が抑えられることが分かりました。

 

今回の研究では間食を防ぐのに特に効果が発揮されると思います。小腹が空いたときや、何か無性に食べたくなったときにホエイプロテインを飲んでおけば、余計なカロリーを摂らなくてすみます。

 

参考文献

https://www.mdpi.com/2072-6643/11/2/247/htm

たった1杯のプロテインが満腹感を与える

人間の食欲はタンパク質の摂取量を増やすことで抑えることができます。暴飲暴食や無意識な間食を避けるためにも、タンパク質は重要な栄養素です。以前、食事の30分前にプロテインを飲むことで、食欲の減退とカロリー摂取量の減少がみられるという研究を紹介しました。

 

その研究では、1回のプロテイン摂取量が60gとかなり多めに設定されていました。一般的なプロテインの推奨摂取量は1回につき20~30gとされており、実験で用いられた60gのプロテインは通常の2~3倍量になっています。

 

今回紹介するのは、1回のプロテインの摂取量を増やすと満腹度がどう変化するかを調べた研究です。1回のホエイプロテインの摂取量を20g、40g、60g、80gの4つのグループに分けて検証しました。いずれの場合も空腹感が大幅に減少し、明らかに食べる量も減っていました

 

平均して空腹度は50%ほど落ちており、最大で65%の減少がみられた人もいました。しかし、グループ間の明確な差は確認できず、ホエイプロテインの摂取量を1回につき20g以上に増やしても、それほど意味はないという結果が出ています。

 

ホエイプロテインが満腹感を高めて食欲を抑えるのは明らかですが、摂りすぎても効果は変わりません。1回の摂取量は20gでも十分効果を発揮してくれます。この実験は間食としてプロテインを飲んだ場合に、その後どうなるかを調べています。

 

食事の30分前ではないので条件としては異なりますが、食べ過ぎを辞めるためにプロテインを飲むなら、1杯分の20gを目安に摂取してください。過剰にプロテインを飲んでも、それほど大きな効果は期待できないでしょう。

 

参考文献

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0195666315002342

食事の前にプロテインで痩せる

プロテインレバレッジの考え方では、タンパク質をしっかり摂れば食欲は抑えられるとのことでした。摂取カロリー全体の15%を最低ラインにして、高タンパク質な食事を心がけることで、自然と摂取カロリーを減らせます。

 

2008年ごろに1日1食をプロテインに置き換えて痩せるというコプセントで、プロテインダイエットが流行しました。お笑い芸人の友近さんがCMキャラクターとなり話題になりました。

 

このダイエットはプロテインを食事に置き換えることで、1食分のカロリーを減らして痩せようというのです。確かにカロリーは減りますが、お腹も減るので空腹を我慢しなくてはいけません。

 

今回紹介するのは、食事の前にプロテインを飲むといったダイエット方法です。これはプロテインレバレッジの考えを参考にして、食事の前にタンパク質を補給すれば食欲が抑えられるという研究結果から考案されたものです。

 

研究報告によると、食事の30分前にプロテインを飲むことで、食欲とカロリー摂取量の両方が減少することができたというのです。プロテインの種類は、牛乳由来のホエイプロテインと大豆由来のソイプロテインの2種類で比較しています。

 

どちらのプロテインも食欲の減退と、カロリー摂取量の減少がみられましたが、効果としてはホエイプロテインの方が高かったという結果になっています。別の研究では、同じ牛乳由来のカゼインプロテインと比較してもホエイプロテインの方が効果は高いことも分かっています。

 

しかもこの研究は短期的なものではなく、12週間にわたって行われていました。プロテインによる食欲減退効果は、長期的に継続されることが証明されています。体が慣れてしまうことなく、食べ過ぎを抑えてくれるのはありがたいですね。

 

ホエイプロテインソイプロテインカゼインプロテインに比べて吸収速度が速く、食欲を抑えるホルモンの分泌をより早く行えるので、ダイエットという観点ではホエイプロテインをお勧めします。

 

ただし、ホエイプロテインが体質的に受け付けない場合も考えられますので、合わないと感じるなら、ソイプロテインカゼインプロテインを試してください。

 

または、通常のホエイプロテインより高価ですが、アイソレートのホエイプロテインに変更するのも有効です。アイソレートは純度が高いのでタンパク質の含有量が多く、胃腸が弱い人でもお腹がゴロゴロすることはないです。

 

もしも、食べ過ぎや間食を辞められずにいるなら、食事の前にプロテインを飲むのはとても効果的です。プロテインを溶かして飲むだけの簡単で効果のあるダイエットを試す価値は十分にあります。

 

 

参考文献

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0271531714001663?via%3Dihub

https://www.nature.com/articles/ejcn201484